第4章 培われしは藍晶石の光輝
結論から言えば、その名前でヒットするような記事は無く、やはり本家の者が上手く消してくれているのだなと伺えただけに終わる。
「家の事なら出てくんだけどなぁ…へえ、酒作ってんのか。しかも純米大吟醸って、こりゃかなりの老舗じゃねえか……こうなりゃアポ取ってった方が早いか?」
『…やめといたら?人様の家人の名前挙げて、この名前の人知りませんか〜とか、ただの不審者だし』
「それは確かに否めねえ…クソ、ほかにもう少し何か………リア、お前の知り合いにいない?」
『……私は忘れたわ、そんな子』
「…それ、知ってるって言わねぇ?」
『何、なんで私が貴方に女を紹介しなくちゃならないわけ?』
「……それなら気が向いたら専門家に頼んでみるかね」
調べるんだ、なんて。
覚えてたんだとか、探してるんだ、とか、そういう感情は勿論ある。
しかし、それ以上に恐ろしいのは、彼がそれに気づいた時のこと。
『…そんなに、大事?……その人』
「…礼が言いたいだけだよ。俺にとっちゃ…お前と同じくらいに、恩がある奴だから」
『私、貴方になにかした覚えがない』
「気付いてねえだけだろ?そりゃ…大丈夫、お前のこと置いてったりしねえから」
グサリとカゲ様の胸をえぐるその発言。
しかし、撫でられる箇所が痛む。
頭も、痛い。
前世の私…そして彼がお世話になったという時期の私の名前は確かにそれだ。
なぜ名前が違うのか…どうして髪色が同じで、似た容姿なのか。
それは私が、間違いなく白波 海音 その人だからである。
正確には、白波海音だったからである。
私は…その名前が嫌いだ。
大っ嫌いだ…出来ることならば、この世の全てから消し去ってしまって欲しいほどには。
だって、世間からも家族からも棄てられたそんな名前に意味なんてない。
誰からも、愛されて呼ばれたことなんて…貴方からしか、なかったの。
「リアたん教えてあげないの?そんなに気にしなくても、中也たん、君から離れていかないよ?」
百目の僕が言うんですけど〜
可愛らしくむくれる残夏君。
私だって、言いたいけれど。
『…じゃあ一つだけ教えてあげる。この世に今、白波海音という人物は存在しない…死んだのよ、その子』
「あっれ、そこ教えちゃう?」
「…死んだ、?……だから、忘れたって…?」
『そういうこと。だから、会うのは諦めて』
