第15章 unexpected happiness【青峰大輝】
お漬物が食べたい。
なんかこう、さっぱりしてる感じの
大根の葉っぱの浅漬けとか、長芋のわさび漬けとか、セロリのぬか漬けみたいな、お漬物だけど野菜の瑞々しさも残ってるやつ。
別にお漬物は嫌いじゃないけど好き好んで買って食べるとかもしないのに、今日は無性に食べたい。
今日は絶対買って帰ろ。
PCの右下に表示されてる時間は16:35。
あと30分弱で今週が終わる。
いつも会社帰りなら自宅に1番近いスーパーに寄るけれど、今日は色んな種類のお漬物が欲しいから会社近くの大きめのスーパーに行くことに決めた。
「つばきさん、すみません。ちょっとご相談が……」
隣の席に戻ってきたのは1年前に入社した後輩の三ツ橋こころちゃん。
ふんわりした雰囲気で可愛らしくって、いつも一生懸命。
指導係になったことが縁でよくお昼一緒に食べたり、仕事終わりにご飯行ったりして仲良くさせてもらってる。
「どうしたの?」
「あの、ちょっとメッセージするので読んで欲しいです」
最初から困り顔だったから、なにか仕事にミスがあったのかと思ったけれど、仕事じゃないみたい。
ポチポチとスマホを入力して、その手が止まるとすぐにあたしのスマホにメッセージが届いた。
仕事中にプライベートでスマホ触るのは本当は良くないのかもしれないけれど、うちの社は仕事さえこなせば喫煙休憩もお菓子休憩も自由。
スマホの使用についても、情報漏洩するような内容でなければ外部との連絡もOKされている。
届いたばかりのこころちゃんからのメッセージを開いて確認すると、困り顔の理由が書かれていた。
(二課の小林係長からご飯に誘われて断ったんですが、理由聞かれて咄嗟につばきさんとご飯って言っちゃったんです。すみません。
もし残業なければ今日一緒に会社出てもらえませんか?)
こころちゃんを見ると、黒目がちの大きな目に迷子の子犬みたいに涙が溜まってウルウルしてる。
本当に困ってるところめちゃくちゃ申し訳ないんだけど、可愛すぎ。
(OKだよ。てか、小林に誘われるの初めてじゃないでしょ)
こころちゃん達同期の歓迎会の時から、小林がこころちゃん狙いだってことは何となく気づいてたし、色んな人からちらほら小林がこころちゃんを誘ってるって話は聞いてた。