第13章 体育祭
「え…?でも…」
ほんの今さっき行きたくないと言ったばっかだから、ニノが困惑してる。
そりゃそうだ。
出たくて仕方ないやつは、行きたくないとか言わねーよ。
理由がおかしいし。
言い訳が下手すぎるだろう。
「本当に大丈夫だから、行ってくるね!」
「じゃあ、せめて送ってく!」
ごねてたのが嘘みたいにさっさと移動しようとする翔の腕を、少し慌ててニノがつかむと
「誘拐されちゃうからダメ!!!」
「………誘拐??」
真顔で言いながら、ニノの手をやんわりと外した。
ニノは何を言われたのか分からなかったのかきょとんとしてる。
「いつもの心配性だから気にするな」
「…?…うん」
とりあえずフォローしてやると、ニノは首を傾げながらも頷いた。
「智とここで応援しててよ。ニノが1人になると翔が心配するからさ」
「…分かった。2人とも頑張って!でも無理はしないでね?」
ニノがまだ心配そうにうるうるの瞳で翔を見つめると
「ありがとう」
翔は優しく微笑んだが
「そうだ!翔ちゃんの好きなものだけ詰めたお弁当作ってきたからね♡楽しみにしててね♡」
ニノがそう言い足した途端、ガッと翔のやる気が上がるのが分かった。
やる気って目に見えるものなんだな…
「すぐ戻ってくるから!ほら、潤!早く行くぞ!」
「お前を待ってたんだろ!?」
「お弁当だって…好きなものだけ詰めてくれたんだって…ぐふふ…」
俺を引きずるようにして足早に歩き出した翔は、文句も聞こえてないようだ。
てか、笑い方がキモい。
スキップもやめろ。
げんなりする俺に、智が笑いながら手を振ってくれて。
“ガ・ン・バ・レ”
俺だけに分かるように口パクで応援してくれて。
俺のやる気も急上昇した。