第13章 体育祭
「ところでさ…ニノって足速くね?下手したら翔より速いんじゃ…」
見てて気になったことを智に聞いてみる。
全力疾走してたっぽい翔に遅れることなく並んで走ってたし、むしろ余裕すら感じられた。
「気付いちゃった?」
「なんでニノ選抜に入ってねーの?」
翔より速く走れるなら、確実に選抜入りだろ?
単純な疑問を口にしたら、智は困ったように笑った。
「やっぱり気になる?実は俺も気になって聞いたんだけどさ。ニノ、タイム計るときにわざと手抜いて走ったらしいよ」
「はぁ?!」
なんだそれ?
呆れて変な声が出たじゃないか!
そうしたら、智が急に目をきゅるるんとさせて、体をくねくねさせ始めた。
「だってぇ、走るの好きじゃないしぃ…ないしょね?」
語尾を伸ばしたぶりっこな喋り方。
何度もぱちぱち瞬きしてわざとらしい上目遣い。
とどめに口に人差し指を当てて、首をこてんと傾ける。
なんっじゃ、こりゃー!!!!
思わず叫ぶかと思ったが、実際には智の殺人的な可愛さに固まってしまって声も出なかった。
そんな俺にはお構いなしに、智は何事もなかったかのようにすっと表情を戻すと
「…だって。ニノのマネ」
ふにゃっと笑った。
どうやらその時のニノの答えを再現してくれたらしいが、あまりの衝撃に心臓が止まってしまったかと思った。
ニノと違って普段こういうことするやつじゃないから、余計に威力がハンパないっつーの!!
まだ心臓がバクバク言ってるぜ…
「だから潤も聞かなかったことにしてね」
「ああ、まぁ、いいけど…」
今の俺には、もうそんなのどうでもいい…とは、智には言えないな。