第102章 ずっと
「目が覚めたか」
・・・誰。
「君は本当に連れ去られるのが得意だな」
この、声。
「・・・ッ」
・・・赤井、さん?
「動くな。まだあの煙が何だったのか分かっていない。分かるまではジッとしていろ」
気付けば木を背に、寄り掛かるように座らされていて。
目の前にある川は・・・夢ではなく現実か。
私は、あの車から運ばれたのか。
「直に彼もここに来る」
それよりどうして、赤井さんがここに。
・・・そもそも、ここは。
「君が置き去りにされた場所の下にあった川だ。流石に爆破から逃れるには、ここしかなかったんでね」
爆破・・・?
何の話・・・?
「今回はこちらに落ち度がある。悪かった」
待って。
話が見えない。
聞きたいことは山程あるのに。
声が、出せない。
「話は追ってする。今は君の体調が優先だ」
「・・・ッ!!」
そう言いながら、赤井さんの手が頬に触れた瞬間、ビリビリと体に電気が走るような感覚に、顔を顰めた。
「どうした、どこか痛むのか」
珍しく心配そうな表情をするのだな、と思いながら歯を食いしばり、今出せる精一杯の力で首を振った。
「・・・まさか、またアレを吸い込んだのではないだろうな」
荒くなる呼吸を繰り返しながら赤井さんに目をやると、少し考え込むような表情を見せて。
赤井さんの言葉と自分の体の感覚で、彼が何を言いたいのか・・・何となくだが、察しが着いた。
彼の言うアレとはきっと・・・。
「ひなた!」
「!」
ガサガサと生い茂る草を掻き分ける音と共に、私の名前を呼ぶ声が聞こえて。
その方向を向きたくても体が動かない為、視線だけをそこへと向けた。
「大丈夫か!?」
・・・最近はそんな顔ばかりさせてしまっているな。
情けないなんて言葉では片付けられない。
彼はこちらに駆け寄ってくると、手をこちらに差し出しかけて。
それに一瞬さっきの感覚を思い出すようで、ビクッと体を震わせると、彼の手は直前で止められた。
「今、彼女が吸い込んだ煙が何なのか分析中だ」
「・・・あ、ああ・・・」
赤井さんと零が・・・話してる。
それに大きな違和感を覚えながら、反射で閉じた目をゆっくり開くと、大きな戸惑いに揺らされる零の姿が目に入った。