第102章 ずっと
「・・・如月さん、大丈夫?」
駆け寄ってきたコナンくんにも笑顔で返事をすれば、彼は一先ず安心したような表情を見せた。
そういえば、コナンくんの目の前で倒れてしまったんだった。
彼にもお礼を言いたいが、今は声が出ない上に、体も満足に動かせない。
仕方なく目で訴えたが、彼は構わず話を続けた。
「ごめんね、灰原も居るからこっちの方が良いと思って。とりあえず昴さんに迎えに来てもらったんだ」
哀ちゃんが居るから、か。
やはり彼女は最初からそういう立場で見られていたのか。
今回の事で哀ちゃんが医療関係の事に強いと言う事は分かったが・・・それが何故なのかを追求するのは、またの機会にしよう。
「安室さんに連絡できそう?」
「・・・」
そういえば、彼に連絡を入れていない。
沖矢さんにも、入れておけと言われたっけ。
・・・でも連絡を入れれば、変に心配を掛けてしまうかもしれない。
今すぐ連絡を入れる事は無理だが、できない、なんて事も言えなくて。
今は首を小さく縦に動かす事しかできなかった。
「無理、しないでね」
コナンくんに会う度、心配を掛けている気がする。
本当に、この歳で情けなくなってくる。
「・・・あ、そうだ」
一度帰る素振りを見せかけた彼だったが、その体を翻して私の方へと戻って来ると、先程とは違う目付きを向けて。
「例のあれ、できたから。いつその時が来ても大丈夫だよ」
そして彼のその言葉で、哀ちゃんが何故、今一度注意してきたのかを察した。
彼の言う、その時が近いから。
もう迷うなと。
覚悟を決めておけと・・・言いたかったのだろう。
コナンくんはそれだけを伝えると、じゃあね、と足早に部屋を後にして。
部屋に残ったのは、今まで珍しく口を挟まなかった沖矢さんだけで。
変声機に手をやったのを見れば、その声はもうきっと、本来のものに戻っているだろうけど。
「さっきよりは、顔色がマシだな」
想像通りの声で言葉を掛けてきては、ゆっくりとこちらに近付いて。
ただその威圧感は大きく、それだけで空気が重く感じられた。