第22章 葬儀と日常生活へ
「ようこそお越し下さいました。ドリンクはいかがなさいますか?」
黒いスーツに身を固めた私は、膝を絨毯について、真っ赤なソファに座るお客様に聞いた。
私の顔の傷は、まだ治っていない。今夜は、裏方に徹することになった。
ふわふわの毛皮のコートを脱いだキャバ嬢は、私の質問には答えない。隣の男を見上げる。
「んー…カカシさんは、なにがいい?」
「そうですね…では、乾杯のシャンパンから始めましょうか?」
「ええ♡」
カカシの腕を抱えて、黒のタイトドレスから、白い豊満な胸を当てた。
「じゃあ、お姉さん、それで」
温度差が激しい。女性は、毛皮のコートを私に押しつけて、またカカシに顔を向けた。
「カカシさん、カカシさん、今日こそ、アフター入れてください♡ドンぺリ頼みますから♡」
アフター!?
「ははは。まだ始まったばかりですよ。ゆっくりしていってください」
指を握って、
恋人同士のように見つめ合う。
仕事。仕事だ。任務なんだから。おさえろ。抑えろ……。頭の中は念仏に近い。
私はため息を吐くのを
死ぬほど堪えた。
「ごゆっくりお過ごしください」
私は席を離れ、ハンガーに高級な毛皮のコートをかける。暗めな室内。タバコや酒を楽しむ。今日はホストクラブ。
昨夜は
キャバクラだったらしい。
売人が女性だと、ビンゴブックの大男は証言したらしいが、女性に変幻していた場合もある。
「おねーさん!お酒まだぁ?」
「あ、はい。ただいま」
シャンパンのボトルを開けて、グラスに注いだ。小さな気泡が無数に上がる。
シャンパングラスを持ち、
私は席へ向かった。
「どーも、ありがと。あとねフルーツ盛り合わせと、生ハムとフライドポテトね」
「そんなに食べれるのですか?お姫様」
「うん、頑張って食べる♡カカシさん食べさせてね♡」
「ああ、いいよ」
高そうなメニュー表を見て、
お姉さんと、カカシが笑顔で喋る。
その様子を跪いて
聞いていた。
任務任務任務……。
生ハム…フルーツ盛り合わせ…ポテト…
伝票に書く文字が
どうしても、尖る。
筆圧が、強くなる。
任務だ。任務任務…任務…。
にっこり作り笑いで
「……かしこまりました」
と席を離れた。