第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
パンケーキを手に持ち、審神者の執務室部屋へと急ぐ、障子で隔たれた部屋の向こうでは何やら楽しげな談笑が聞こえる。
「失礼します。お電話お貸し下さりありがとうございます。お待たせしてしまい大変申し訳ございませんでした。厨をお借りしてました。」
「良いのよ。気にしなくても。それよりお客人に作らせてしまってごめんなさいね。でも、美味しそう」
「うわぁー、キレー!!あ、ねっ、ねっ母さま!すごいよ、この小鳥さん苺でできてる!こっちのお花は桃だぁ!」
出来うる限り果物は飾り切りをした、苺等は小さくて切りにくいが苦労の甲斐あって大変好評である。
「林檎の白鳥も見事ね。どこから食べるべきか。食べるのが勿体ない。暫く部屋に飾っておきたいわ」
林檎の薔薇を1つ取り何処に飾るか思案しだすヒサシ。
「いや、食べてください」
クツクツと笑い声がして振り返ると電話をしていたらしい。ホログラムの向こうで壮年の男が此方を楽しげに見守っていた。
「失礼しました。お話を遮ってしまい」
頭を下げようとするのを片手で制す。
「麗しき花達の咲き誇る様というのはいつの世も和むもの。ご健勝な様子に安堵致しました。」
「先日は、私事の為資材を工面して下さり有難うございました。 正四位少将殿」
「あゝ、お気になさらず、お役に立てて何よりです。
建物の一画を補修する程度で済んで良かったです。ポケットマネーが足りるか不安だったので。
年寄りのヘソクリも捨てたものではないでしょ?」
少し茶目っ気に話すこの御仁。知らぬ審神者はいないと言われる名将の一人で、神階は審神者でも最高位に達し、政府の重鎮達からも覚え名高い審神者であった。最も本人は叙名を辞退しているが専ら、その位階や役職名または大使館本丸殿と呼ばれてる。
「私の養子の弟子とあれば私の子でもありますからね?困り事があったら、遠慮などせず、この爺に頼みますように。ね?」
「あ、フチさんも今回のイベント参加するんだっけ?」
「ええ、仕事熱心な役員どのがわざわざ話に来てくれたのでね」
苦笑い気味に後ろへと目線を向ける。
その目線の先には明るい色の髪が見える。何やら頭を押さえているがこちらの目線に気づき此方に近づいて来る。