第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
此方の行動にいち早く気付いたのは、この本丸のへし切長谷部。
「笹風、一体何をしているのだ」「皿洗いです」
そうじゃない。聞きたいことは、そうじゃない。という顔。
勿論理解してる。
「パンケーキ再挑戦するには、まず、調理器具を片付けてから、シンクの周りは常に清潔にして行うのが良いかと。この本丸、ハンドミキサーありますか?」
「あるにはあるが、長らく使ってない筈だ。出すか?」
「それならば不要です。とりあえず、洗った調理器具片っ端から水気を拭いてください。水気が混じった泡立て器では一日かけてもメレンゲは作れません」
この言葉に三人は絶句。勿論、作れない訳ではない。多少強調したが、腕力と気合と根性があれば作れる。
只々、スフレパンケーキは泡立て器をひたすら使う。割合でいうと8割泡立て器、後の2割が盛り付けと焼きの作業。このように使用時間と腕の筋力がかなり消耗するから、無駄な作業は出来れば遠慮したい。
一通り材料を揃え、手洗い消毒も各自済ませたのを確認した後口を開く
「さて、太郎太刀様。本日のおやつは察するにスフレパンケーキを作る予定だったと思うのですが相違ないでしょうか?」
「ええ、弟の次郎太刀が、疲労と二日酔いで何かつまむ物をと言われたので」
弟君の欲していた物はおやつではなく十中八九肴だと思う。
そして、太郎太刀様は聞けば戦闘部隊でいつも先陣を斬る大変優秀な方。何を申したいかというと、土間に数える程しか入ったことの無い箱入りさんである。
正直、そんな箱入りさんにスフレパンケーキは中々ハードルの高い料理といえよう。
「そうですか、お集まりの皆様、これよりこの即席チームでスフレパンケーキを作りたいと思います。が、大変申し上げにくいのですか、見ての通り牛乳が殆どありません。この通りスッカラカンです」
コップに牛乳を注ぐも雀の涙程の量。
「水でも出来るのではないかい?」
「歌仙兼定。水で溶かしたココアと牛乳で溶かしたココアは同じ味ですか?」
好みが分かれるが個人的にはミルクココアの方が好き。
牛乳と水とでは旨味成分が天と地程違う。
歌仙も口を噤む。
「牛乳や水の代わりに今日はこれを使います。」
冷蔵庫から発掘したあるものを取り出す。