第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
本丸の入口をあける何足かの外履きと綺麗に並べられたスリッパが最初に目に飛び込む。
掃除の行き届いた廊下の端に僅かに残る透明な水たまりとその側には小さな子供用の積み木のおもちゃと小さなマスコットがいくつか落ちていた。
人の気配がない。留守か?
否、その筈はない。約束の時間よりほんの僅か早いが、事前に連絡はしておいたのだ。
何かあったのだろうか
「ごめんくださーい。」
神菜が間延びした声が廊下に響く。
「あれはだれです?」「おきゃくさんです?」「おきゃくさんってなんです?」
廊下の端の方から声がする。が、姿が見えない。
目を凝らしてみるもやはり人の姿はない。
が、廊下に落ちていたぬいぐるみがムクリ、と起き上がりこちらにやってくる。
手のひらサイズの小さなそのぬいぐるみはまんまるのつぶらな瞳でこちらを見ていた。
審神者の間でまことしやかに囁かれる刀剣妖精。
刀剣破壊や本体喪失等で現世に留まる器を失った後審神者達から大事にお祀り、供養された刀剣男士は妖精の形になって本丸を守る守り神になるという。
そんな都市伝説級の存在が目の前にいた。
因みに今剣、不動行光、髭切の刀剣妖精である。
神菜は内心感動を覚えていた。
「我々は政府、遣いの者だ。こちらの審神者の元に案内してもらいたいのだが」
歌仙が声をかける
「せいふのつかいってなんです?」「こうぼくです?」「あっせいとじゅうぜいをしいるだめな、げぼくです?」
妖精さん、意外と辛辣だった。
ピクっ、ピクっ、と歌仙の顔がひきつった。
「事前にこちらの審神者様にご連絡したのですが、ご案内していただけますか?」
「ここを通りたくば、われわれにくもつをよういするです。つうこうりょうしはらうです」「あまいものほしいー」
「あまじゃけー」
実にしっかりとした子達だ。
「困りました。今日は持ち合わせが」
「だつぜいだめです。わいろよこせです」
と今剣風の刀剣妖精さんがこちらによじ登りしきりにお菓子を強請る。
「こら、君たち彼女に乱暴な真似は・・うわっ!?こらっ!僕の着物の袖に入るんじゃない!!?くすぐっ・・うわ」
「何をしてるのデス?」