第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
鼻腔を擽る、甘くもあり爽やかな菊花と白檀の高貴な香りと共に、男が自分達の横を通る。
薄紅色がかったピンクブロンドの髪は短く切り揃えられ、その淡麗で気品に満ちた柔和な顔立ちを華やかな印象に魅せていた。
色白で眼鏡をかけた知的な印象すら受ける男はまるで白菊の様な清らかでいてかつ華やかな美男だった。
この家にいる人間は何故こうも、此方の目が潰れるのではないかという位の美男揃いなのだ?
友人の勤め先が心底気になる。
此方の戸惑った視線に気づくと、白菊の君は、手袋をした手の人差し指だけを立てて、自分の薄い口元に寄せ、少し茶目っ気を帯びた笑みを浮かべて、神菜に近づき。
「会いたかったよ!!ご主人様!!!!」
色白の頬を真っ赤に紅潮させ、神菜の体を抱きしめた。
その場にいる人間は全員固まった。
白菊の如き美貌の気品に満ちた風貌の青年から理解に苦しむ、場違いな言葉が耳に飛び込んでいた気がする。
いや、そんな、まさか。気のせいだろう。
「ご主人様に放置プレイと称して離れされていたこの3日間。僕は、随分強くなったのだよ。具体的に言うとね・・・んふふ、それは、今夜の楽しみにとっておくとしよう。兎に角、あなたの下僕(しもべ)が帰ってきたよ!さぁ、その冷たい視線で僕の全てを束縛しておくれ!」
気のせいではなかったらしい。
心底、友人の勤め先が気になる。というか、心配になってくる。
友人はというと冷静で、というか冷めた目で男を一瞥し、
「下僕が、主たる人間に簡単に触れていいと思うのか?」
「勿論、それは許されない事だと思ってるよ。でも、可憐なご主人様の繊手に触れてこそ、僕は貴方の下僕だと感じることができるのだからそれくらいのことは許してほしいね。まぁ、その視線に一時でも映るだけでもご褒美だけどね。さぁ!僕は何をすれば良い?椅子、それとも馬になればいいかい?」
既に膝を床につけて背中に乗ってくださいとばかりの体勢。
自分達は真昼間から何を見させられてるのだろう?
「・・・・村正と遠征、出陣行って来なさい。暫く、帰ってこなくて良いわ。」
「僕を遠ざけるつもりなんだね。その冷たさ、あぁ、堪らない!」
「貞!この長兄を私達の視界から遠ざけて!!」
白菊の君は、温厚そうな少年と、華やかな少年に連れて行かれた。
