第2章 吉原潜入
「こんな重い物、皆さん着ているんですね」
私は着付けてくれた遣り手に悲鳴をあげた。
「こんなもんだよ。道中なんて、これで練り歩くんだ」
「うわー。考えただけで疲れちゃいます」
そう言った私を、今度は髪結いが、何本もの簪を持って苦笑する。
「頭も重くなりますよ」
「ひぇ〜」
着物、髪、化粧、すべて遊女仕様に出来上がった時、私は既にヘトヘトだった。
大丈夫かなぁ…。
「出来たでありんすよ」
百華のリーダー、月詠さんが真選組が待機している部屋の戸を開けた。
「おぉ〜!」「めっちゃ可愛いじゃん」
「俺マジで指名したいかも」「俺も」
口々に言う隊員達を、土方さんが制した。
「お前ら、心の声を漏らすな」
「そんな事言って、土方さんこそテメーのネオアームストロング反応しちゃってんじゃねぇですかい?マヨビーム発射しねぇでくたせぇよ」
「するか!だいたいな、マヨビームをバカにするな」
大丈夫かなぁ…。
「あ…さん」
細い声に目をやると、山崎さんが直立不動で私を見ていた。
「あ、あの、すごく、綺麗です」
「本当ですか?ありがとうござ…」
ドンッ!
目の前で、山崎さんは沖田さんに蹴り飛ばされ、顔から倒れた。
「なーに鼻の下のばしてんでぃ、ザキのくせに。だいたいそんな呑気な事言ってる場合じゃねぇだろ」
「…はい。さん、ちゃんと、守りますからね」
沖田さんの足の下から聞こえた山崎さんの声は、少し震えていた。