第3章 後編
その後アーデンとユーリは広場で振る舞われてる料理を楽しんでいると、兵士が近づいてきた。
兵士は銀の甲冑に身を包んだ近衛兵であり、かしこまった姿勢でアーデンの前で足を止めると一礼をして、王女がアーデンを呼んでいる旨を伝えられた。
そのやりとりを見ていた周囲の群衆がまたざわつき始め、「やっぱりあの人だ」「王城に招かれるなんて」とひそひそ声が耳に刺さった。
手に持っていたグラスを傾け、アーデンは思考を巡らせる。
「…えーっと、断るって選択肢は?」
申し訳なさそうな表情をしているが、きっぱりと断りたい雰囲気を醸し出す。
正直言って、面倒だった。
「殿下のご命令ですので——どうかご容赦を」
その言葉にアーデンは肩を落とすと、ユーリの方をちらっと見て反応を伺う。
ユーリはデザートをせっせと口に運んでおり、王女の命令なら仕方ないのではと目で語っていた。
アーデンはやれやれと思い、ユーリも一緒に連れて行っていいならと条件をつけた。
兵士は少し困った顔をしたがすぐに持ち直して、王女に確認するため小走りで城の通用口へ消えていった。
そして五分ほどして戻ってきた兵士は深く頭を下げ、王女よりお許しが出た旨を伝えられると、二人は近衛兵の後について王城への石段を登った。
城内は外の喧騒が嘘のように静かで、磨き上げられた大理石の廊下に靴音が響いた。
通されたのは応接間ではなく、中庭に面したテラスだった。白いテーブルクロスの上に茶器と菓子が並べられている。
そして椅子から立ち上がった王女が、ドレスの裾を持ち上げて護衛が制止する間もなく駆け寄ってきた。