第12章 Bout
陰鬱とした空気が漂う、よく晴れた日の朝。
それもそのはずだ。本日期末テストの結果が発表される。それはすなわち、合宿への参加可否が発表されると同義──。
「みんな⋯⋯合宿の土産話、楽しみに⋯⋯してるからっ⋯⋯」
三奈ちゃんの悲壮をたたえた声が漏れ響く。緑谷くんの励ましの声もたいした意味はなさず、不安組の嘆きは続けられた。
かくいう私はベストを尽くした、といった感じだ。これでだめならお留守番補習地獄も致し方ない。
「おいおい、綿世。なに遠い目してんだよ。こういうときはな、余裕を溢れさせてこそヒーローってもんだぜ」
「峰田くんは余裕しゃくしゃくだねぇ」
「あたぼーよ。お前も自信持てよ。こうだぜ、こう」
「こ、こう?」
峰田くんに指導されるがまま、彼の真似をして脚を組み、顎に手を触れ、くいっと顔を上げる。正解だったのか、峰田くんはこれまた余裕の笑みをたたえた。
期末テストを乗り越えてから、私たちはひとつ壁を乗り越えたというか、戦友になったというか、協定を結んだような間柄になったというか──まあ、とにかくなんだか打ち解けた気がする。
約束通り峰田くんの活躍を女子に広めていたら、弱みを握られているのかと疑いをかけられてしまったのは内緒だ。
私はちゃんと、約束は守ったからね⋯⋯!
「わからねえのは俺もさ。峰田と綿世のおかげでクリアはしたけど⋯⋯」
瀬呂くんの言葉に峰田くんは得意気な表情を浮かべる。
いつもより静かなのは、やはりこれがモテる男の余裕というやつなのだろう。
今朝に限ってはあの爆豪くんも静かだ。テストでなにかあったのだろうか。
ふと、視線を戻すと轟くんと目が合った。首をかしげるも特になにか返ってくるわけではなく、ぼーっとした視線が送られるばかりで。
少々居心地が悪くなって、組んだ脚を下ろして居住まいを正した。
「予鈴がなったら席につけ」
相澤先生がやってきた。
と思ったらさっきまでの騒々しさがうそのように皆静かに着席していた。