第11章 Advance
峰田くんは瀬呂くんのテープを使い自らの呼吸を封じる。そして何を思ったのかもぎった頭の玉を投げつけまくった。
やけかと思ったけど、岩に貼り付けられたそれを見てはっとする。
ここまで個性を使わなかったのは、きっと──!
私はミッドナイト先生の背後に近寄り、一気に距離を詰めた。
「フフッ息を止めたって気配は消せないわよ!」
瞬時に気づかれ鞭が伸びる。だけど、それでいい。
先生の足めがけてスライディングするように避けると、鞭は私の後ろへ向かう。その先には峰田くんのトラップがあった。
すぐさま細い繊維を幾重にも先生の足にまとわせる。蜘蛛の巣みたいな綿には否が応でも意識を取られるはず。
「なに?あっ……!」
ミッドナイト先生の視線が私と綿に向いた後、岩に固定された鞭に気づく。その瞬間、峰田くんの必殺技グレープラッシュが炸裂した。
地面から見上げた小さな背中はまさにヒーローだった。
「んんん!」
テープで口の塞がった峰田くんに引き起こされる。
ぼんやりしてる暇などない。身動きが取れなくなった先生を背にゲート方面へ走り出した。
香りの届かないところまで行くと峰田くんはやっとこさ口元のテープをはがし、私も止めていた呼吸を再開した。ふたりして息も絶え絶えなのに、とたんに抑えきれない興奮が溢れ出す。
「ねえ、すごいよ!峰田くん!」
「オイラがミッドナイトを熟知してないわけないだろ」
「あれ全部演技だったの?天才だよ!主演男優賞もの!」
「惚れてもいいんだぜ?」
「うんうん、惚れ直した惚れ直した」
得意気な峰田くんにくすくすと笑みがこぼれる。
「綿世も、オイラの作戦に気づいてくれて助かったぜ」
峰田くんはかっこつけたまま、にっと笑った。
そうしてゲート前の瀬呂くんを引きずって三人一緒にゴールした。これで実技突破だ!
「私も運ぶのに。むしろ代わるよ?」
「これ以上こいつにおいしい思いさせてたまるかよ!」
「あぁ、そういう⋯⋯」
「ここは勘弁してやるからよ、オイラの勇姿ちゃんと女子たちに広めてくれよな」
「揺るぎないねぇ。でも、わかった」
実技クリアにセクハラ免除という恩恵にあずかったため、峰田くんのモテに助力することを約束する。
期末テストが終わるころ。私たちの間にあったわだかまりはすっかりなくなっていた。