第1章 1
「会うのは2回目なんだけど、やっぱり飛んじゃったか」
「?」
なんのことか分からず、私は首を傾げる。すると男は立ち上がって私をもう一度見た。
「まぁ、いいや、もう一度同じことをするんだし。今度は最後まで…ね?」
「意味がわからないんだけど、あなたの目的は何?」
「あれ?伝えなかったっけ?あの夜も、メールでも。聞きたいなら何度でも教えてあげるよ。俺が欲しいのは君」
「……っ……」
瞬きをした瞬間男は私の目の前に来ていた。私が1歩下がろうとすると手を掴まれて、阻止される。
「随分強引ね。私は優しい王子様が好きなんだけど。」
「あれ?君の好きな王子様も強引な男の子な気がするけど?」
快斗のことだろう。なぜかは分からないがこの男は私の置かれている状況を把握している。
「あんなの可愛いものに見えてきたわっ!」
私は男を蹴りあげようと足を上げる。すると男は私の手を引いてバランスを崩させると、私の体を壁に押付けた。
「イケない子だなぁ。お仕置が必要かな?」
そう言って男は私の足に手を這わせた。
「……っ……」
やだ………気持ち悪い……
その感覚を私は知っている気がした。嫌な感覚。快斗に触れられた時とはまるで違う、体が凍っていくような感覚。
私が顔をゆがめると男はニッと笑う。そして懐からなにか取りだして――――
プスッ
「いっ……」
私に何かを刺した。足を見ると注射針が足に刺さっている。そして注射器から液体が私の体内に流れ込んでくる。
「……っ……」
「あの夜を再現するなら必要だよね。最も、あの夜より強力なやつだけどね」
液体を全て流し込み、男が注射針を抜いた。すると私の体から力が抜け、崩れ落ちそうになるのを男が支える。男はそのまま私を抱き上げベッドに下ろした。
「やっ……」
少しの衝撃で体に快感が走る。男は嬉しそうに私を組み敷いた。
「やっと俺のものになるね。嬉しいよゆい」
嫌だ…こいつに触られるのも、名前を呼ばれるのも…
「幸い、1番の邪魔者は君の手で眠らされてるしね。」
そうだ……快斗は来ない……私がそうさせたんだ……誰も助けてはくれない……でも……
「………まだそういう目ができるんだ?」