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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第6章 冬霞




光太郎はニコリと笑って、大きく背伸びをした。
すると井戸にいた若利がこちらに気が付き、手合わせを願うためにこちらへ向かってきた。


「ありがとな、赤葦」


梟は闇の覇者である、夜行性猛禽類。
その瞳は金色に光り、鋭いくちばしで獲物を噛み殺す。

ある晩、黒尾は八重にこう言った。


『確かに赤葦も梟みてェだよな。でも、俺からしてみれば・・・』


憐れな被食者をその羽で覆い、暗闇に閉じ込める梟。


『木兎の方がよっぽど───“梟”、そのものだ』


強すぎる光というのは、闇と同じ。
何も見えなくなり、自分がどちらを向いているのかさえ分からなくなる。


「旦那様・・・」


赤葦はその強すぎる光を前に、ただ身体を震わせることしかできなかった。


光太郎に隠していることがある。
そもそも自分は八重の幸せなど願ってはいない。

厳しすぎた父の躾の賜物である無表情のおかげで気づかれていないが、自分は偽りだらけの人間だ。

それでもただ一つ、不変の真実がある。
それは・・・


「すみません・・・すみません、旦那様・・・」


自分は木兎家のためだけに生まれたが、用済みとなった瞬間に存在してはいけない人間になるということ。
だから今は・・・今だけは、偽りでもいいから光の中にいたい。


「なんで謝るんだよ。お前はただ、俺たちのことをいつも考えているだけじゃん」

「・・・・・・・・・・・・」

「心配するな、俺はそう簡単に八重をウシワカなんかに渡さねーから!!」


次も勝負をしたら負けるかもしれない。
それでも“敗北”を認めるわけにはいかない。


「木兎。腹の具合が治ったのなら、もう一度手合わせを願う」


血の繋がりはなくとも、光臣に託された木兎家の当主なんだから。


「もちろんだ、ウシワカ!! 次は絶対に勝つから見てろよ、八重! 赤葦!」


吹っ切れたように勝負を受けてたつ光太郎。
そんな光太郎を見て微笑む八重と、顔を伏せる赤葦。

誰の目にも触れないところでは、寒椿に残る朝霜が静かに光っていた。














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