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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第6章 秋は夕暮れ①


全員がポカンと口を開けて、一瞬その場を沈黙が包んだ。
「なっ!何だよ、それ!!ふざけやがって!」
「意味わかんねー!!」
女子達は口々に喚き散らす。
それでも新開は笑顔を絶やさなかった。
「ふざけてるわけじゃないんだ。これは、、、」
「うっせー!!テメェも一緒にぶん殴られたいってことかよ!!」
痺れを切らした1人が新開の頭に向けてガラス瓶を振り下ろした。

ガシャン!!

顔を庇った新開の拳に当たってガラス瓶が砕ける。新開の拳からは血が滴り落ちた。

「新開くん!!」
佳奈が叫んだ。

岩元さん、本当に君は強いなぁ。
こんなに痛いことを目の前にして、どうしてあんな顔ができたんだ?

新開はまだ笑っていた。
「ごめん、顔はダメなんだ。一応これでも人気があるみたいでさ。それとさっきのあれは、、、」
「ハッ!何?聞こえねーなぁ?次こそ自慢のその顔ぶっ潰してやるよ!!!」
間髪を入れず新開の顔をめがけて割れたガラス瓶で殴りかかる。

自分で言うのも何だけどレース以外での俺は優しいと思う。
大抵の人には好かれるし、俺も大抵のことは許せるんだ。
もしも何か揉めてもさ、笑顔でいれば何とかなるだろ?
気楽にいこうぜ。美味しい物でも食いながら。
だってその方がさ、ほら楽しいと思わない?


「やめて!!」
佳奈が叫んだ。その目には涙が浮かぶ。
ブン!と風を切って振り下ろされるガラス瓶。

新開の顔から笑顔が消えた。

でもさ、
こんなに綺麗なものを目の前で、
汚されそうになって笑ってられる程
俺は優しくはないんだよ。


そのガラス瓶を新開は血が流れる落ちる手で受け止めた。

「な、、、!離せよっ!!」
女子生徒はガラス瓶を掴む新開の手を振り払おうとしたが、ピクリとも動かなかった。ガラス瓶を新開の血が伝った。
そしてそれまで俯いていた新開が顔を上げた。


この強くてまっすぐな小さな騎士と並べるように、
あの綺麗なお姫様にいつか近づけるように、


「必ず仕留めるって合図だよォ!!クソ野郎共がァっ!」


その為になら鬼にだってなってやる。


その顔は新開がレース以外で初めて見せた鬼の顔だった。
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