第6章 秋は夕暮れ①
「ヒッ!」
その顔を見て女子生徒は思わず瓶から手を離した。
怯えた顔が新開の瞳に映った。
あぁ、、、やっぱり?
ガシャン!
掴んだガラス瓶を新開はコンクリートに投げつけた。
大きな音とともにガラスは粉々になった。
「な、何だよ、コイツ、、、」
「や、、、ヤバくない?」
後ろに控える女子達が口々に呟いた。
この顔は怖いよな?笑
「いいかァ?次ィ、コイツに何かしてみろよ。お前の顔があぁなるからなァ!!」
「、、、、ぐっ!」
黙り込む女子達。そして目の前で固まる女子に更に詰め寄り、
「分かったかッつってンだよ!!!このボケェ!!!」
新開は舌をむいて叫んだ。
ごめんな。ケド、、、
だからこそやってるんだ。
、、、本当に醜くて、弱い俺の唯一の作戦。
「ヒィッ!!」
新開の鬼の形相に女子生徒達は一目散に逃げ出した。
その背中を見もしないで新開は俯いた。
「新開くん!大丈夫!?」
佳奈が新開に駆け寄った。その声にハッと我に返った。
「うん、、、平気さ。」
そう言った新開は、もういつも通りの新開だった。
手の傷を気にして佳奈がハンカチを差し出した。それを受け取った瞬間、佳奈と目が合う。
潤んだ目で心配そうに自分を見上げる佳奈の目。その目があまりまっすぐ新開を捉えそうになったから、新開はサッと目を逸らした。
岩元さん、君は本当に強いな。
「でも、女の子って怖いね。逃げてくれなかったらどうしようって笑」
冗談で返してそれをごまかす。
あんな俺を見ても、君はそんな風に俺を見てくれるのか。
、、、そんな目で見られたら、嫉妬してしまうよ。
君はどこまで綺麗なんだって。
パッとハンカチを手に巻いて、汚れたジャージをはたいた。
佳奈が何かを言いたげに口を開いたのに気づいたが、それを遮った。
「じゃ俺、部活の買い出しの途中だから。ハンカチありがとう」
「あ、あのっ!新開く、、、」
佳奈が言い終わる前にその場を去った。
ごめんな。
俺は君にそんな風に見てもらえるほど良い人間じゃないんだ。
君の目は綺麗すぎて
今の俺には眩しくて。
俺の全部が見透かされるんじゃないかって。
怖いんだ。
なぁ、香田さん。
君は1人じゃないと伝えたいなんて
おこがましい俺を許してほしい。
でもいつか俺がもっと強くなれたなら
その時は笑ってくれると
嬉しいな。
