第6章 秋は夕暮れ①
暗い廊下に光が差し込み、荒北の視界が開けていく。
眩しさに一瞬目が眩み、左腕で顔を覆った。
その手には青いラベルのボトルが2つ。
秋の澄んだ空に浮かぶ太陽の光でその黒色の液体は茶色く光って、キラキラとした雫が荒北の頬を濡らした。
その先に見えたのは
新開の隣で笑う沙織だった。
荒北は眩しさも忘れて目を見開いた。
ちょっと待て、、、
大声で笑う沙織の声が聞こえた。
心臓が感じたことのないテンポで脈打って、思わず荒北は胸を押さえる。
なんか心臓が変なんだケド、、、?
楽しそうに笑う沙織の視線の先には
っつーか、何でテメェがそこにいンだヨ。
新開。
荒北は思わず足を踏み出した。
口を開いて息を吸い込み、喉に空気を送り込む。
「そこは、、、」
そこは俺の場所だろーが、、、。
楽しげに話す2人を見て、荒北は出かかった言葉を続けることができなかった。
お前の笑顔が見たくて来たハズなのに、
お前はあんなに嬉しそうに笑っているのに、
目を逸らしたいなんて思っちまうこんな俺の、、、
震える右手で扉を静かにゆっくり閉めていくと、少しずつ光は消えて真っ暗になった。
さっきまでの明るさの分、暗さが増して何も見えない場所で、荒北は独りしゃがみこんだ。
「どこに邪魔する権利があるってンだよ、バカ野郎、、、」
ガン、、、!
持っていたベプシで力無く扉を殴る。
ハッ!俺はまた自分勝手な思い違いをしてたらしい。
お前のそんな顔が見られるのは俺だけだって?
、、、バァーカチャン。
何でだろうナ。
こんなに胸が苦しいのは初めてだ。
こういうのは一体何て気持ちなんだろーな、、、
「あー、、、ダッセ、、、」
誰にも気付かれず、ボトルから垂れた雫が1つ、重い扉を伝って音もなく廊下に滴り落ちた。