第6章 秋は夕暮れ①
「靖友?」
固まる荒北の肩を新開が叩く。
心臓が変な音を立てて、何も頭に入ってこなかった。
「沙織ちゃんと一体何があったんだ、、、?」
何があったって、そりゃ、、、。
新開が荒北の顔を心配そうな顔で覗いているのが分かったが、沙織が出ていった扉から目を離すことができなかった。
「誰がテメェなんかと話すかよ!」
沙織の言葉が頭の中に何度も鳴り響いた。
罵倒さえあげてもらえなかったンだヨ、、、。
「靖友、、、。ッ!!」
新開が走り出して扉から出ていくのも見えた。
そんなに、、、嫌だったのかヨ?
荒北はまだ沙織の腕の感触が残る手の平を見つめた。
ハッ!
笑わせんナ、、、
荒北は鼻で笑った。
テメェが一番甘チャンじゃねーか。
謝ることさえ許してもらえなかった自分を。
アイツのことナメてンのか?
話くらいは聞いてもらえると思っていたバカな自分を。
他人に頭下げりゃ何でももらえるなんて思うな、
、、、なんてよくほざけたなァ?
アイツだったら許してくれると思ってた。
もしかしたら何事も無かったかのように、
またケラケラ笑って隣に座ってくれンじゃねーかって、
なんて自分勝手だヨ。
アイツの気持ちも考えねーで。
なぁ、話しかけられンのも嫌だってヨ?
触られンのも耐えらンねーんだってヨ?
笑っちまうゼ、、、なぁ?
「荒北君!一緒にお昼食べない?」
名前も知らない女子生徒が荒北の腕にすがりつく。
誰だヨ?お前。
ホントにバカだナ。
荒北は無言で女子生徒の腕を振り払った。
「え?ちょっと!荒北くん!?」
そして走り出した。
どんなに避けられてもいい。
泣かれたって関係ねェ。
どんどん逃げろヨ。
それくらいの方が
、、、燃えンダロ?
荒北は迷うことなくまっすぐ屋上に向かった。
何で屋上かって?
ハッ!野性の勘だヨ、ボケナスが。
屋上まで必死で走った。
バカみてェだって笑うかヨ?
上等だァ。
必死ンなって、汗かいて
それでも俺が一緒に昼メシを食いてェのは、
お前なんだヨ、香田。
最後の階段を上がって
重い扉に手をかける。
可笑しいダロ?
笑ってくれヨ、頼むから。
ギィとイヤな音がして暗い廊下に光が漏れた。
お前にだったら
バカにされてもいいって思うんだ。