第2章 砂漠の月71~150
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慌ただしくその日はやってきた。
出席が決まってから、怒涛の様にドレスや付属品を決め、特に月子は一から全てを決めて揃えることになったので必要な物があり過ぎて本人は半ばパニックだったが周囲が嬉々として揃えていた。
そうして迎えたパーティー当日、市はホルターネックのロングドレスで太ももの中ほどまでスリットが入りスタイルの良さを強調するドレスを、月子はオフショルダーで黒く袖のないタイトドレスの上からレースの袖があるショートドレスを重ねたようなドレスを着て二人とも踵が高めのパンプスを履いて隣でエスコートする元就と晴久に寄り添って会場に現れた。
衆目の集まる中、市と元就、晴久は慣れた様に堂々とその中を歩き、月子は少しだけ緊張して不安そうな面持ちで晴久に付き従って歩くと周囲からはほぅっという羨望の吐息が零れ落ちていく。
「疲れたら言えよ? 長居するつもりはないから」
「はい」
不安そうな雰囲気が拭えない月子を支え、時折挨拶に来る人間を手際よく捌きながら晴久が言うと、月子はその言葉に少しだけホッとしながらはにかんでコクリと頷く。
その仕草と表情に、周囲で見ていた独身男性たちが釘付けになるが、晴久が睨むと慌てて視線を逸らしていく。
同時に市も元就と仲睦まじい様子で会話を交わし、美しい笑みを浮かべて独身男性だけでなくそこに居た数多の男性の視線を釘づけにしたが、やはり元就の睨みに慌てて逸らされていく。
そうして主催である財閥の男性の前に四人で辿り着くと、挨拶を交わす。
「ようこそ、我がパーティーへ。君が織田氏の妹君かね?」
「はい、本日はお招きありがとうございます」
「そちらが毛利家嫡男、嫡女、尼子家嫡男かな?」
「いかにも。此度はこのような席への招き、感謝する」
四人での挨拶なので、代表して声を掛けられた市とそのパートナーである元就が挨拶を返し晴久と月子は礼を取るに留まる。
主催者の男性の横には二十代だと思われる男性と元就たちと同じ年頃だと思われる男性の二人が居り、主催者からは彼らが息子であることを紹介されそれぞれが挨拶を交わす。
市は同じ年頃の主催の息子に、月子は十近く年上だと思う主催の息子に、何故か言い表せない不安を感じて握手に応じたが直ぐに手を離すと元就と晴久にそれぞれが身を寄せる。