第2章 砂漠の月71~150
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カタリ
学校から帰宅して、着替えが終わったあとで玄関から手紙の届く音が聞こえた。
今の時間に配達されたのかとポストを覗くと、見慣れぬ封筒が目に入る。しかも家族全員分なのか6通も。
自分に宛てられた封筒を開くと何かの招待状?
「ねえ、昴」
「何です~?」
リビングで転がってた昴の腰に座って昴宛の手紙を見せると「ああ」って
「この差出人、この世界じゃ有名な外国の財閥で。何かっていうとウチを招きたがるんですよね」
毛利や尼子、皆さんのとこにも届いてる筈ですよと言われて、もしかしたら皆行くのかな。
「今まで断ってたんですが、今回妙に食いつかれたんで仕方なく」
「ドレスとか着るの?」
「行く気満々ですねお市様」
「昴、呼び方」
もう、皆気が緩んだら昔の呼び名になるんだから。
「ここのドラ息子が市と月子ちゃんに目を付けたって話も聞いた事があるんですが…」
昴はチラリと市の様子を見ると、スマホでドレスの検索をしてたので
ありゃ、聞いてないなと苦笑いを零し。
「市重い」
「にゃー!誰が重いって!?」
腰に乗っかる市を退けて、スマホで元就と晴久に忠告を送る。
「昴勉強してる?」
「えー、これでも主席なのに」
「詐欺だ」
「なんだとう」
きゃあきゃあと兄妹喧嘩を繰り広げてたら帰ってきてた黒羽に拳骨されて2人で蹲って。
痛いと悶えてたらドレスは決めたのかと。黒羽め、オカンめ。
「昴も着ていくもの決めておいて下さい、注文するのがあったら早めに言って下さい」
「はーい…」
ほんとにオカンだよねと昴と頷いてたらキッと睨まれて目を逸らす。
さて、月子ちゃんのとこ行ってドレス選んで来るかな、元就もどんなの用意するのか気になるし。
昴と黒羽に元就のとこに行って来ると言って家を飛び出して、背後から昴の絶叫が聞こえた気がした。
知らない知らない。昴頑張れ、黒羽の仕置きは雹牙より恐ろしい。
家を出た市の背後で、黒塗りの車が市の姿を捉えてたのに気付かず。
「…」
雹牙は静かにその様子を眺めた。