第2章 砂漠の月71~150
元就と晴久はその仕草にチラリと視線を交わすと各々が寄り添った彼女たちの腰を抱き寄せ、大丈夫だと言うように寄り添うと微笑ましげに見る主催者とは裏腹に苦々しい表情を一瞬だけ息子たちは浮かべた。
それも直ぐににこやかな笑みにかき消されたが、元就と晴久は見逃さず内心で舌打ちしながらも市と月子を不安にさせるようなことはせず挨拶を済ませるとその場を離れた。
「……昴からの忠告は当たりだな」
「ただの噂ではなかったということよな」
「晴久さん?」
「元就? どうしたの?」
「何でもないから気にすんな」
「どうもせぬ。こちらの話よ」
場を離れ、立食形式になっているため軽食を取りに行こうかと移動している最中、元就と晴久がひっそりと会話をしていると月子と市が首を傾げて見上げてくる。
実害がないのに騒ぐことは出来ない上に、何もしてこないならば言って不安にさせるだけ可哀想だろうと話を誤魔化すと、不思議そうにしながらもそれ以上聞いてくることはない二人に元就も晴久も微笑む。
晴久は腕に添えられた手をぽんぽんと撫で、元就は市の髪を一房持ち上げて口付けて見せれば頬を染めながらもはにかむ女性二人は男女両方から羨望や尊敬の眼差しを向けられているが無頓着である。
食事が置いてある場所に辿り着き、一つ二つ摘まみながらそろそろ帰ろうかという頃合いで主催の息子たちが近づいてきた。
お近づきにどうぞ、とグラスを差し出され戸惑いながらも四人分渡されては断ることも出来ず、それぞれがグラスを受け取る。しかし、月子は苦手な飲み物だったので口を付ける仕草だけで飲まず、五分ほど話した所で帰ると告げて四人は会場の外へ出た。
「えと、その……化粧室、寄っていいですか?」
「ああ、行って来い。車呼んでくる」
「我は荷物を取ってくる。市、身に危険があるようなら遠慮はするな」
「こんなところで、大丈夫だと思うけど……」
「其方はもう少し自覚を持て。とにかく、相手が誰だろうと容赦はせぬように」
「うん」