第2章 砂漠の月71~150
「嫌いじゃないから、好きかって言われりゃよくわかんねぇけどさ。俺も本命の彼女が居るのは初めてのことだし。ただ、月子から貰えるのはすげぇ嬉しい」
「……うん」
果たして、晴久は月子の予想通りに特集コーナーで今日の日を思い出し、月子が来る理由に思い至って思わずにやけて黙りこむ。
月子はその沈黙を迷惑そうだと取ったのか、慌てて言い募ると晴久がやんわりと月子の唇に自分の指先を置いて続いていた言葉を止めた。
唇に触れる晴久の指先に頬を染めながらも不安げに瞳を揺らした月子は、同じように頬を赤らめながら嬉しそうに笑う晴久にホッとしながら頷く。
買い物を終えて晴久の家に行くと月子は毛利の家に連絡を入れてから夕飯の支度をする。
晴久の父と祖父は何を察したのかそれぞれ出掛けると言い、夕飯を食べると家を出て行った。
「ええっと……その、ケーキ、まだ食べれますか?」
「もちろん」
「今準備するね!」
後片付けも終わってリビングで二人になると月子はもじもじとしながら尋ねる。
柔らかな笑みで頷いた晴久に、ぱあっと華開くような笑みを浮かべた月子はぱっと立ち上がるとキッチンに向かう。
冷蔵庫からケーキを出すとレンジで加熱してからコーヒーと一緒に晴久の前に出す。
ドキドキしながら晴久が食べるのを見守っている。晴久がケーキにフォークを入れて割ると、トロリとチョコの液体が零れ落ちる。
「お……チョコか?」
「うん、フォンダンショコラにしてみたの。中のチョコはちょっとだけ洋酒入れてあるんだけど……」
「酒は弱くないから大丈夫だ」
不安げに見てくる月子に微笑み、一口分掬い上げると口に運ぶ。
口の中でホロホロと崩れるケーキと混じって濃厚なチョコがほんのりと洋酒の風味を纏って舌を滑っていく。