第2章 砂漠の月71~150
「お、いたいた」
「なんだ、お前も振られたのか?」
「は?」
「散れ!」
「げふっ……何すんだごらぁ!」
広間に顔を出すと集まっていた婆娑羅者たちが雑談しており、晴久の姿を見た元親が何故か残念そうな顔をして放った一言に反応したのは元就で始まった言い合いに晴久は目が点になる。
事態が飲みこめずに見ていると、赤い顔をした市が視界に入りなんとなく理解して苦笑しながら手招きをする。
「どうしたの?」
「月子、今日俺らに付き合って最後まで滑ったから力尽きたみたいでな。寝ちまったから俺も部屋に居るわ」
「あ……うん、わかった」
「なんか用事あったらLINE飛ばしてくれ」
「うん。月子ちゃん、今、一人?」
「ああ、鍵は締めて来てるから大丈夫だと思うが、もう戻る」
「そうしてあげて」
元就と元親の騒ぎにやんやと野次を入れたり忙しい婆娑羅者を横目に、晴久は寄ってきた市に用件だけ伝えるとじゃあなとそのまま部屋に戻る。
カードキーを出してドアの鍵を開けると、中からパタパタと軽い足音が響いて晴久は入った瞬間に何かに飛び付かれた。
驚きながらも飛び付いたのが月子だと認識していたので抱き留めると、ぎゅうぎゅうと抱き着いている月子が喉を引くつかせ泣いていた。
「月子?! どうした、なんで泣いてる?」
「目が覚めたら、は、るひささん、いなくって……置いてかれたのかとおもっ……」
「ごめん、ぐっすり寝てたから起きると思ってなかった。これなら行かずにLINEで連絡しとけばよかったな」
「っく……ごめ、なさっ……」
「謝らなくていいから、中入るぞ。そういや、髪も生乾きだったな」
驚いて月子に怪我や異常がないかと引き剥がして調べていた晴久も、理由を言われて僅かに目を瞠るとふっと笑って月子を抱き上げる。
子供の様な縦抱きに、月子は晴久の頭を抱き込むように抱き着くと頭上でヒクリ、ヒクリと嗚咽を零す。
歩けないからと身体を離させ、ベッドに移動しながら晴久は髪を撫で湿っていることに気付くとベッドに座らせてドライヤーを持ちだす。
背後に回って月子の髪を乾かすと用事も終わったからもう寝ようとベッドに誘い、二人寄り添って目を閉じた。