第2章 砂漠の月71~150
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ナンパ騒ぎがあったものの、その後は全員で固まって行動していたため次なる騒ぎはなく全員がスキーやスノボーを楽しんだ。
夜はホテル近くのレストランで賑やかに食事を済ませ、ホテルの大浴場には天然温泉の露天風呂があるというので入ることになった。
「じゃあ、一時間後にはここに集合ね」
「おう!」
「りょーかい」
市の言葉に、元親と佐助が最初に反応して男湯の暖簾をくぐると追うように次々と男性陣が移動し、女性陣も女湯の暖簾をくぐり中に入っていく。
大浴場は天然温泉以外にも色々な工夫が凝らされており、市も月子もかすがも嬉々として湯船巡りをしたら時間が押してしまった。
しっとりとした濡髪のまま、乾かすのは部屋で良いやと市と月子は髪を纏めてコームで留めると持参した浴衣と羽織りを身に着け女性陣で纏まって暖簾をくぐる。
そのタイミングは最悪と言うべきか、最高と言うべきか晴久、元就、政宗が宿泊客らしき女性三人にナンパされているところだった。
「どちらからいらしたんですか?」
「私達、ここに泊まってるんですけど、良かったらお部屋に来ませんか?」
「その浴衣ってここで置かれてるのと違いますよね? お似合いですけど、よく着てらっしゃるんですか?」
三人、特に晴久と元就は嫌そうな表情で無視を決め込んでいるが、何も言わないのを良い事に三人の女性はそれぞれに身を寄せ擦り寄っている。
丁度触れそうになった所に女性陣が出てきて遭遇したというところだ。
晴久たちが気付くよりも、女性陣、特に市と月子の動きは早かった。
「晴久さん!」
「元就!」
反射的に名前を叫び、駆け出すと女性の前に割り込み腕に抱き付く。
かすがといつきも政宗の方へと歩み寄りやんわりと言い寄っていた女性と政宗の間に入る。
「政宗兄ちゃん、待っただか?」
「いいや、待ってねぇぜ。楽しんだか?」
「うん!」
和やかな兄妹の会話に政宗に言い寄っていた女性は家族旅行だと捉えたのか、早々に退散したが晴久と元就に言い寄っていた女性たちはそれぞれに自分に自信があるのか月子と市を見ても引かなかった。
いや、市を見た女性は竦んだようだが、作り物めいた容姿に何を思ったのか余裕の笑みを取り戻すと再び元就に言い寄り始める
しかし、晴久も元就も月子と市が来た時点で女性二人の存在は抹消されていた。
