第2章 砂漠の月71~150
扉がパタンと閉まる音がしてからもぞもぞと起きだすと、月子は晴久が拾ってくれた服を身につけて扉に近づく。今は一先ずこれで良いとして、着替えをどうしようかと思いながら扉を開けると扉の横の壁にもたれて晴久が待っていた。
「あ……」
「ん、服は用意してるから後でな。とりあえず、飯食おう」
「服あるの?」
「ああ、俺が選んだやつだけど……」
「ありがとう。お雑煮、作るよ?」
「ん、頼む」
思わず声を漏らした月子に、晴久は言うのを忘れていたと服のことを告げられてホッとしながら頷く。
以前にも服を選んで貰っているのでセンスは信用しているし、晴久が選んだ服を着ることはなんとなく嬉しくて自然と笑みを浮かべて礼を言うとキッチンへ向かう。
せっかくの正月だからとお雑煮を作ろうと張り切る月子は、腰に添えられた晴久の手に頬を染めながらも促されるままに歩き出す。
「おじさまたちは?」
「わかんねぇ。帰ってないみたいだから昼過ぎまで戻らねぇんじゃねぇかな? 親父たちが帰ってくる前に出かけるか」
「出かけるの?」
「月子がやりたいことがあればそれでもいいぞ? あ、でも毛利の家と織田の家に挨拶には行かねぇとな」
「う……なんか、家に帰るの恥ずかしい」
「俺はなんとなく嬉しいけどな」
引き寄せられて、頭頂に口付けられて月子が肩口にすり寄る。キッチンでてきぱきと雑煮を作る月子を手伝い、指示された通りに器を出したりしている晴久は緩んだ顔はそのままだ。
二人で雑煮や買っておいてあったおせちを食べ、片付けを済ませると服を着替える。晴久が用意していたのは洋服で、目を瞬かせながらもそれを着る。
ベビーピンクのバルーンワンピースに太めのワインレッドのベルトを締めて、タータンチェックのポンチョにベレー帽がを被りバッグも可愛らしいレースをあしらってあるがシンプルで大人っぽさもあるモノで用意されている。
着替えて外に出れば、既に着替え済みの晴久は厚めのVネックのグレーのセーターに少しかっちりとしたの黒のジャケットとスラックスを着ていた。首元には月子が編んだストールがかかっている。
「ん、可愛い」
「晴久さんもかっこいい……」
「サンキュ。んじゃ、行くか」
「うん」