• テキストサイズ

砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


月子が一番長く手を合わせていたようで気付くと他の三人に微笑まし気に眺められており、顔を上げた月子は三人の視線に思わず頬を染めると遅くなってごめんなさいと謝る。

「別に謝る必要ないぞ?」
「好きなだけ祈るが良い」
「月子ちゃん、お願い出来た?」
「は、はい」

恥ずかしい、と頬を染め視線を伏せた月子の頭を髪型を崩さないように撫でた晴久に促され、四人でお守り売り場に移動する。
それぞれ思い思いのお守りを購入すると、月子と晴久はお互いに買ったお守りを交換していた。おみくじも引いてみれば、月子は末吉、市は大吉、晴久と元就は中吉という結果だった。
月子はおみくじに書かれている内容を見て嬉し気に微笑むと、そっと自分の巾着に入れる。

「持って帰るのか?」
「うん、嬉しいことが書いてあったから……」
「そっか」

市と元就、晴久の三人はおみくじを指定の場所に結び、さらに移動する。神社の境内には有志でだろう、年越し蕎麦や甘酒の出店が用意されており、市が甘酒を飲みたいというので立ち寄る。
月子は甘酒を飲んだことがなく、晴久からもらったカップに恐る恐る口を付ける。

「……なんか、不思議な味と香り」
「まぁ、好みは分かれるかもな。飲めそうか?」
「うーん……コップ一杯は無理そうです」
「月子ちゃんは苦手?」
「みたいです」

数口飲んで困ったような表情をした月子に、晴久は自分のを飲み干すとするりと月子のカップを持っていく。
あっと月子が声を出した頃には晴久が飲み干してカップを返しており、申し訳なさそうな表情になって見ていると頭を撫でられる。
市と元就もカップを返すと、四人は並んで階段を下り始める。

「月子、このまま俺んち来いよ」
「え? でも……」
「我もこのまま市を連れて帰る故、月子は晴久のところに行くがよい」
「兄さん?」
「両親も兄上も今日は家に居らぬ」
「え?」

寝耳に水、といった風情の市と月子に、元就も晴久も互いに分かっている様子で告げてくる。
嫌か? と問われれば市も月子も嫌ではないと答えるのはほぼ条件反射で、それぞれが無自覚に淡い期待を抱いて帰路についた。
/ 338ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp