第2章 砂漠の月71~150
市は震える手で持たされたリングをそうっと掲げると差し出された元就の左手に嵌める。神聖な場での指輪交換の様なその工程に視界は潤むが頬は熱い。視線がかなり向けられている気もすれば、まったく誰も見ていない気もする。
混乱しかけた頭で市が指輪をはめきると再び左手を取られ元就に引き寄せられた。テーブルを挟んでいる分遠いが、指先に唇が触れる。
「今世でやっと手に入れた、我の珠玉。離さぬ故覚悟しておけ」
「……はい」
誓いの様に言われた言葉に、零れる涙をそのままに元就の望む笑みではっきりと頷いた市に元就が満足気な表情を見せたのと、最後の花火が盛大に空に輝いたのは同時だった。
音に驚き、市が後ろを振り空けると宵闇に市と元就を祝福するように大輪の華が咲いた。