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砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


元就はその笑顔が見たかったと言いたげに、再び髪を撫でると先を促す。周囲では二人のやりとりを偶然見てしまった人たちがうらやましがったり悔しがったりと、色々と騒ぎになっていたが当人たちは眼中にない。
時折お土産が売っているショップなどにも立ち寄りながらレストランに辿り着くと、元就がスタッフに声を掛け席に案内される。
予約席、そう札が置かれた席に案内されて市が目を瞬かせる。元就を振り返れば、ニヤリとたくらみが成功した時の笑みを浮かべてククッと喉の奥で笑った。

「……もしかして」
「そのもしかして、だ。夕飯も楽しみにしておれ」
「マジか……」

思わずぽろっと出た市の言葉に元就が片眉を上げたが無言で椅子を引いたので、市も何も言わずにエスコートされるままその席に座った。
そうして始まったのは市が一番好きなキャラクターが主役の舞台で、ご飯もそこそこに繰り広げられるステージに市の視線は釘づけだ。
元就は面白そうに眺めながら、市の止まってしまった手の代わりに市の皿の食べ物を一口サイズに切って市の口元に運んでやる。
すると、無意識にぱくりとそれを食べてもぐもぐとしながら、ステージを見続けている。元就はその様子に苦笑し、最後まで食べさせることとなった。

「……ごめんなさい」
「何がだ?」
「えと、色々……です。食べさせてもらうとか、ステージに集中しちゃうとか、もう……」
「我は可愛い其方が見れて満足だが?」
「かっ?! も、ばかっ!」

食事が終わり、店を出てすぐに市がしゅんと項垂れながら言う謝罪に、何か判っていてもあえて問い返した元就に視線を彷徨わせながらごにょごにょと言えばからかうような言葉が返ってきて市は顔を真っ赤にさせながら頬を膨らませた。
子供の様に食べさせて貰いながら、それに気付かずにステージに夢中なんてどんだけだと反省した所だったのにと拗ねると、頬に柔らかい感触が当たり市は固まった。
横を見れば面白そうに市を見ている元就が居て、再び顔が近づいてそれが頬へのキスだったと判ったが逃げようもなく、もう一度されて真っ赤になる。
羞恥に涙目で周囲を見れば、場所はいつの間にか色んな場所から四角になった一角で、市は今度こそ馬鹿、と本気で詰ると抱き寄せられるままにその肩に顔を埋めた。
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