第102章 戦乱(せんらん)
1日として食事を除いて休みが無く
ずっと模擬戦してました
で、学校から苦情が来て発覚
新ボーダー設立から一か月と数日後
恵土はようやっと、28日ぶりの休日を過ごし
丸々1日爆睡したので休めていないという状態に至ったそうです
恵土の場合…
戦場の動き、流れが見えているのではなく
『観えている(観の目)』、なんですよね
9〜14歳末までの戦場経験を考えると
これは才能だけではなく、極限状態で磨かれた感覚
それは単純な反射神経では説明できない
例えば12歳から14歳末までの爆弾が飛んでくる状況なら
「どこに落ちるか考える」では遅い
・発射された瞬間の角度
・初速や軌道
・着弾地点
・爆発範囲
・周囲の人間の密度
・救助に向かう場合の最短経路
・次の攻撃が来る可能性
を一瞬で把握しなければならない
更に同時処理する必要がある
しかも目的は「自分が勝つ」ではなく、『誰も死なせないこと』
判断基準は、「どう勝つか」ではなく、『どうすれば誰も死なないか』
だから恵土の視野は常に自然と自分中心ではなく、『戦場全体』を俯瞰する視点になる
恵土の感覚も「努力で身につけた」というより、長年の経験によって普通の人間には処理できない量の情報を扱えるようになった感じ
未来が見えている?と思われ勝ちだが
実際は未来を見ているわけではなく
「現在存在する無数の情報から、次に起きることがほぼ確定して見えている」という感じ
一番怖いところは、その「観える」が戦場限定ではないところ
恵土は戦闘だけじゃなく
・隊員の成長の詰まり
・チームの不和
・戦術の穴
・誰が無理をしているか
まで見えてしまう
だから香取隊への評価でも、「弱い」ではなく、
「積み木を前にして、どこに組めばいいか分からず止まっている子供を見ている気分」という表現になる
相手の能力不足を責めているのではなく、「可能性が見えているから歯がゆい」
9歳から14歳末まで、一瞬の判断ミスが大量の死につながる場所で生き残った結果
恵土は「最強の戦士」になったというより、『誰かが死ぬ前に、その可能性そのものを一瞬も要さず観つけて潰す戦士』になった
最短でいつも助けて回っていたから
来た瞬間にはもう戦争が終わってる
というのが助けられたネイバーフッド側の視点
その為、赤影伝説がおとぎ話になったと——
