第89章 堆魂の儀(ついこんのぎ)
その槌(神フォボスの槌)は――今も、ケイトの手の中にある
忘れないように――
戒めるかのように――
否―――
大事な、―――――大事な、掛け替えの無いもの(人)として―――
慈しみ、愛おしいものを見るような目で―――――
ずっと、ずっと――大事に、大事に―――持ち続けていた…持ち続けてきた――――
それを見ても、クロッゾの癌は、気付くことは無かった―――
思い出すことさえも無かった――――
ワザと見せ付けても、同じことだった―――――
ただ―――ただ――――やるせなかった―――――
どれだけ目に掛けても、大事にしても――――全く見向きもしてこない、そんな在り方で自然と返す「癌」という生き方が―――――
神剣を打つ際、どこから槌を得たのか聞いても…教えてはくれなかった
ケイトを引き取ってくれた養父であるヴェルフィンの槌は、遺品として妻であった神ヘファイストスへ譲った
そのことは、ケイトからもきちんと聞いていた
だからこそ聞いたし、ヴェルフィンのものではないとわかっていたからこその質問だった……だが、教えてはくれなかった
何か事情があるのかもしれないと思い、口を噤み尋ねるのをやめた
まさか――神フォボスが見込んだ人が「癌」だと受け入れたくないが為に、認めたくないが故に、必死に、無理に、想いも、痛みも、苦しみも、何もかもを…何も言わずに全て呑み込んでいたこと等、知る由も無かった―――
その墓参りに付き合っている時に…
ラキア王国は、鉄道王国兼鍛冶王国として盛り立てられていた
神アレスは確かに神フォボスを殺した
しかし――それは、神フォボスが癌クロッゾを庇ったからに他ならない
そのことよりも…愛おしい日々を思い返し、墓の前で立ち上がって背を向けようと半身を逸らし呟いた
ケイト「微笑)見てて――フォボスおばあちゃん
恥じない生き方をしてみせるから
最期の瞬間までね^^」
フォボス『おばあちゃんじゃないっての
全く…(苦笑溜息)
私がおばあちゃんならあんたは大大大大ばあちゃんさ』
ケイト「くす)
ふふふっ^^
いいね、なるよ!私…
一緒に居れるのなら、なんだって――
大好きだから―――
ずっと―――^^
愛してるよ――私の愛おしい家族(おばあちゃん)』
フォボス『嗚呼――私もさ^^』