第1章 前編 時の彼女と死の外科医
ローは凄まじい攻撃を繰り広げていた。
それはまるで、痛みを感じていないような動きだった。
ドフラミンゴはそんなローに舌打ちするが、まだ僅かにドフラミンゴのほうが力で押していた。
ユーリを助けに行きたいという思いが、余計にローを焦らせ攻撃を鈍らせているのだろうか。
(……なぁ、ロー……おれの能力を覚えてるか?)
ローは突然聞こえてきた懐かしい声に驚き、攻撃を止めないまま周囲に視線を巡らせた。
その瞬間、ドフラミンゴの攻撃で後方に飛ばされ壁に激突した。
(……せっかく自由になったのに、こんな傷だらけになりやがって)
ローは壁に背を向けて起き上がると、目を見開き固まった。
ローの頭には大きな手が乗せられた。
まるで、今までの苦労を労るかのように。
正面にいるのは幻でも幻覚でもない、あの日死んだ姿のままの、コラソンが立っていたのだ。
(お前の音を消してやる。……ドフラミンゴを、止めてくれるんだろ?)
コラソンの手がゆっくり頭から離れる。
そして彼は優しく笑うと、その姿は消えていった。
「…ッ…!」
ローは咄嗟に掴もうとしたが、それは叶わなかった。
目の前には息の根を止めるかのように向かってくる、ドフラミンゴのみ。
(あぁ、止めてやるさ。それがおれの…コラさんの願いだからな)
ローは刀を持つ手に力を込めた。