第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「…じゃぁ今日でいいだろ」
ローはユーリの頭に手を置くと優しく撫でた。
彼女の抱えているものは、よく見ていないと気づくことができない。
少しくらい弱音でも泣き言でも言えばいいのだが、恐らく彼女は簡単には言わないだろう。
一人で生きてきた彼女は甘え方も知らない。
普段はふざけているが、いざとなったら身を引く癖でもありそうだ。
あの遊園地の時がいい例だ。
「……そっか、それもいいね!」
そう満面の笑みで喜ぶ彼女は、眩しかった。
「ありがとう!」
そういってユーリはローに抱きついた。
その嬉しそうな表情にローの表情も自然と緩んだ。
そしてローはもう二度とこの笑顔を失うものかと、ユーリを抱きしめ返したのだった。
その後二人が暫く抱き合っていると、徐にローが口を開いた。
「…で、他には?」
「え?何が?」
「まだプレゼント貰ってねぇ」
「あー…それが、何にするか迷いまくって気づいたら今日に…」
「じゃぁ好きなものを貰っていいんだな?」
そう言いつつユーリをソファーに押し倒した。
「いやいやなんでそうなる!?寧ろ今日は私も誕生日だー!!」
ユーリの叫びが船内に響き渡った。
しかし結局何時ものように好き勝手されてしまったのだった。