第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ガッ!
外した瞬間、ユーリの視界は回った。
「っは、ちょろいな」
ユーリを押し倒しているローの表情は、それはそれは凶悪だった。
「えぇぇぇぇ!?騙したな!?」
ユーリはジタバタ暴れるが当然逃げれるわけなかった。
「さっきから随分と好き勝手してくれたじゃねぇか?覚悟はできてるんだろうなぁ?」
ローはユーリの頬を撫でながら、嗜虐的な笑みを浮かべた。
そんなローにユーリは青ざめた。
さっきまでのしおらしい雰囲気はなんだったのか。
ローという人物の本性なのか新たな人格なのか分からないが、日に日に余計なものを叩き起こしている気がしてならない。
それはきっとユーリにだけ見せる一面なのだが、その内身が持たなくなるんじゃないかと心配になった。
しかしそんなローを好きになったのも事実なので、もう諦めて開き直るしかないだろう。
ユーリは噛みつくようにされた口づけを受けながら、あぁ今日はもう終わったと嘆いたのであった。
先ほど話したローの言葉は嘘ではない。
ローがユーリの前でしか見せないその本心は、きっとこれから先も彼女を振り回すだろう。
しかしユーリも同じくローを振り回すので、お互い様である。
そんな似た者同士がこの先、ある島で一緒に働き、家族が増えて更に騒がしくなるのは、もう少し先の話である。