第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
泣けてきたといっても実際に泣くわけはないのだが、いい加減色々限界が来ていたのも事実だ。
だらかローは再度下手に出るしかないと思い、深く息を吐いた。
「ユーリ」
静かに呟かれた声にユーリは顔を上げローを見た。
「今回の件は流石にやり過ぎた。悪かったと思っている」
キョトンと見つめてくるユーリにこいつはもう忘れたんじゃないだろうかと不安になったが、このままだと埒が明かないので言葉を続けた。
「おれのことは嫌いになったか?」
「え?それはまったく」
予想以上に気にしてないので思わず気が抜けそうになった。
まぁ今後の為にもそれは良い誤算だが、こいつは本当に大丈夫なのかと心配になる。
何でもかんでも受け入れてもらえると、それこそ歯止めが効かなくなるがこいつは分かってるのだろうか。
「おまえを愛しているから、独占欲を見せるし嫉妬もする。更には虐めたくもなる」
「う、うん?」
100歩譲って途中までは分かるが、最後のはどうなんだ?
好きな子を虐めたくなる心理は大人になっても許されるのかと内心ユーリは突っ込んでしまった。
「これもおれだと思って、受け入れてくれねぇか?」
「……う、うん」
思わず頷いてしまったが本当に良かったのだろうかと若干後悔した。
でもローが嬉しそうな表情をしていたので、なんだか心が温まった。
よく分からないが彼が幸せならそれでいいかと思ったのだ。
「さっきは途中までだったからな。おれはおまえと愛し合いたい。だからこれを外してくれないか?」
じっと見つめてくるローはなんだか何時もと違う雰囲気で、少し大人しく感じた。
「うん!分かった!」
だからユーリは何の疑いもなく手錠を外したのだ。