第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「昨日に引き続き今日もありがとうございました。これ、よかったらどうぞ」
ユーリとローがホテルの部屋で夕食を済ませると、ユーリが昨日買った荷物から何かを取り出した。
そして不思議そうな表情をするローの手の上に、虹色に輝く綺麗な絹糸で出来た紐を乗せた。
じっとそれを見ているローに、ユーリは照れているのか口早に説明した。
なんともこのリゾートでは世界でも珍しい虹色に輝く絹が取れるようで、人気のある品物だそうだ。
噂ではそれを身に着けた者を厄災から守り、幸運をもたらすとか。
ただの噂ならそこまで人気は出ないだろうが、実際に幸運になった人が続出するため幻の商品となりつつあったのだ。
「……へぇ」
ユーリがそれを見つけたのは本当に偶然であり、あの時譲ってくれた店の夫人に感謝をした。
「…っ!い、いつまで見てるんですか!…そうだ鬼哭を出してください!」
ユーリの説明を聞きなんとも興味深そうに見ていたローだが、突然ユーリから奪われ鬼哭を出せと騒がれた。
ローはなんなんだと思いながら鬼哭と出すと、刀の柄の邪魔にならない場所に虹色の紐を結んだ。
「はい、消して!」
そして今度はさっさとしまえと言ってくるので、取り合えず消してやった。
どうやら人に物を贈ることに慣れていないので、恥ずかしかったようだ。
貴重なユーリからの贈り物なのでもう少し見ていたい気もするが、まぁいつでも見れるかと思い今日は諦めた。