第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「ローは怖いものないの?」
ユーリは食べ終わったクレープの包みをゴミ箱に捨てると、ローに尋ねた。
「……さァな」
ローは少し考えたが、何も出てこなかった。
嫌いな食べ物ならあるが、怖いものと言われればよく分からない。
そんなローの返答にユーリは特に深く突っ込むこともせず、また別の話題に切り替えた。
ユーリの話に耳を傾けながら、コロコロ変わる表情につられるようにローの表情も和らいだ。
第三者から見ればたいした変化に見えないが、クルー達が見たら驚愕するだろう。
そしてユーリも、ローの雰囲気がだいぶ丸くなってることに気づいているはずだ。
(…あぁ、例えばこいつが死ぬようなことがあれば、怖いかもな)
ローはユーリの笑顔を見ながらぼんやりとそう思った。
ユーリが死亡フラグを乱立しまくるので、万が一のことを考えたら背中に冷たいものが流れるのを感じた。
しかしこれからはローが守ればいいと思い、これ以上起きもしない未来を予想するのは止めた。
絶対に死なせねぇよ。おれを置いて行くなんて、許すわけがない。
ローは声を殺して笑った。
ユーリは話に夢中なので、ローの変化に気づいていない。
そしてその後2人はそろそろ日も暮れるので、ホテルへ戻る為にテーマパークを後にしたのだった。