第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「…はぁ、なにしてるんだ」
そして痺れを切らしたローが、扉に寄りかかりながら口を開いた。
その問いかけにユーリは暫く返答に迷っていたが、気まずいのでコミュニケーションを取りきたとボソボソ告げた。
ローはユーリが扉の前に来ていたことは気配で分かっていた。
何時までたってもウロウロして入ってくる気配がないので、何か用事があるならさっさとしくれと思っていた。
ローも今まで気にしてなかったが、ユーリを無理やり抱いた記憶がまだ新しいので、気を遣ってわざと離れていたのだ。
しかしわざわざ近づいてきたので、何か用事があると思うのが普通だろう。
そして何時までもウロウロしてるユーリに痺れを切らし、ロー自ら扉を開けて問いただしたのだ。
それがどうだ、返ってきた返答はあまりに純粋なものだった。
こいつは数日前にローがしたことを忘れたんじゃないのかと思うくらいだ。
まぁ阿保を極めたユーリなので、本当に忘れてもおかしくはないが。
「とりあえず中に入れ」
ローはこれ以上考えても仕方ないのでユーリを中に通した。