第1章 前編 時の彼女と死の外科医
船が海に出てから暫く、2人は勝手気ままに過ごしていた。
そして船に積んでいた食糧で腹を満たし、更に数時間が経ったころ、ユーリはあることに気づいた。
(んんん!?今まで全然気にしてなかったけどなんか気まずくね!?この微妙な雰囲気のままゾウまで過ごすと思うと息が詰まりそうだ)
朝会話してから一言話すどころか顔すら合わせてない状況に、漸くユーリは事の重大さに気づいた。
そもそもローは船内に入ってからまったく出てこないので顔を合わせようもないのだが、このままでは精神衛生上よくない。
ユーリはローとコミュニケーションを取るべく船内へ向かったが、もう一つ大事なことを思い出してしまった。
(ってまた今まで忘れてたけど、ドレスローザに着くまでの3日間に掛けて行われたあの暴挙の数々。だめだ、ますます気まずさがレベルアップした)
むしろよく今まで普通に接してたなと突っ込まれそうだが、忘れてたものは仕方ない。
出来れば忘れたままでいたかったが思い出してしまったので、どうしたものかと扉の前で立ち止まりウロウロしていた。
(くそーどうして今思い出した!今まで忘れてたくせにまったく役に立たない記憶力だな!しかしこのまま過ごすのは絶対気まずい。私の精神衛生上よくない。
うぉぉぉぉぉどうしたらいいんだぁぁぁぁ!)
ガチャ
「……」
ユーリが一人扉の前でもがき苦しんでると、突然扉が開いてローが出てきた。
暫くの間、無言で2人は見つめ合った。