第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「ぼさっとしてないでおまえも手伝え」
物思いにふけっているユーリに、相変わらず不機嫌な表情で命令してくるロー。
そもそもなんで一緒に来てくれるんだ。
ユーリの疑問が消えることはなかった。
「…すみません、私の用事に付き合って貰うのは嬉しいですが、面倒じゃないですか?」
そう、これが言いたかった。
ローの性格からして世話焼きタイプではないし、まったくもって彼の行動が不可解なのだ。
もしかしてコラソンの件のお礼なのかと思ったが、あれはユーリが呼んだとは一言も言ってない。
コラソン自ら伝えたのなら別だが、例えそうだとしてもここまでするだろうか。
「…ただの気まぐれだ」
「あぁ、なるほど!」
別に答えになってないが、ユーリは妙に納得した。
そしてその納得を裏付けるように、無事に船が海に出るとローは船内に入り勝手気ままに本を読みだした。
そんなローにユーリも漸く渦巻いていた疑問が消えて落ち着きを取り戻した。
ローの話だとここから1日くらいで行ける小さな島があるようだ。
小さな島と言ってもリゾート地のようなもので、買い物するには申し分ない。
何から何までお世話になってることに、ユーリは本当に感謝した。