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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第12章 以毒制毒


翔side


許せなかったんだね…、やっぱり


1人になって、小刀を構えた瞬間の智の表情が脳裏に蘇る。

その瞳は激しい憎悪に染まり、父様しか見えてなかった。


情を交わした人が自分の父親を殺めようとした


わかってたつもりだったのに。

智は殺したいほど憎いっていってたんだもの。


いつかこんな日が来るかもしれないってことは、覚悟してなきゃならなかった筈なのに…

剥き出しの憎しみを目の当たりにして、どうしたらいいか分からなくなってしまった自分がいた。



御両親の仇を討つために…

智が自分から望んで広間に降りてきたのかもしれない。



でもおれはあんな形で父様が死んでしまったんだってことが、どうしても受け入れられなくて。


あれじゃ…悲しすぎる


今更遅いのかもしれないけど…

こんなことになるくらいだったら、父様に智の苦しみを解って欲しかったし、謝って…償って欲しかったって思うのは虫が良すぎる話だったのかなって。

甘い考えだったのかもしれない



おれはどんな顔をして智に会えばいいんだ…



いくら考えたって答えなんか出る筈も無く、心配げな表情を浮かべてる和也に広間の様子を見てきて欲しいって頼むと、一人、自室へと足を向けた。


階段を上がりきって、木扉の前に立つ。

扉の向こうには智がいる。


智は…

父様が亡くなったことを聞いて、喜んでるんだろうか?

それとも自分の手で仇を討てなかったことを悔しがってるのだろうか…?



おれは…

そんな智を見て…なんて言えばいい…?



父親を亡くした悲しみに掻き乱された胸を抱え、ゆっくりと木扉を開けた。
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