《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第23章 カラ松END〜洋館の主人とわたし〜(※)
「そうなんですか?」
「ええ、事件があってからは、ほとんど喋りませんでした。会社も下の者に任せて、全く顔を出さなくなっていましたし。橋本様が来てくださって、本当に変わられたんですよ。橋本様がずっとここにいて下さったら、私共も安心です」
「…………」
時計塔で淋しそうに景色を眺めていたカラ松さんを思い出した。
ここにずっと住む……。
でも、それはカラ松さんとの結婚を意味している。
カラ松さんは、はっきりと言った。
その気がないなら出て行ってくれ、と。
「橋本様?」
執事の声に私は我に返った。
「あ、すみません。ちょっと考え事をしていて……」
「何か悩んでおられます?」
「いえ、あの……」
執事は優しい瞳で包み込むように私を見た。
「いいんですよ。若い頃は何かと思い悩むものです」
「……執事さんは悩まれないんですか?」
少し興味を持って聞いてみる。
人生の大先輩は迷った時どうするんだろう?
執事は愉快そうに笑った。
「私くらいの年になりますと、達観してしまうんですよ。あれこれ悩んでも、長い人生から見れば、ほんの一瞬です。何十年も同じことを悩み続けるなんて、滅多にないでしょう?」
「はぁ……」
言われてみれば、そうかもしれない。
「後から振り返れば、その程度の悩みなんです。結局は、案ずるより生むが易し。考えるのをやめて流れに飛び込んでみれば、案外それなりの答えが出るものです」