第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
まだ心の準備出来てへんから
鉢合わせへん時間に出たのに
…なんて、慌てた気持ちは
「サクラは?一緒ちゃうん?
今になって二人きりとか
なんのイタズラやねん」
『え?二人?侑一緒やないん?』
ザワザワと、さざなみを起こし始める
「侑は何かえらい早く出た
どうせバレーしに行ってんやろけど。
毎度体育館忍び込んで
北さんに怒られてんのに
懲りへんやっちゃ」
バレーの練習?ホンマに?
疑うわけやない
侑やサクラに限ってって思う…けど
『なぁ、治くん。
サクラに今日のお昼お弁当って頼んだ?』
胸のさざなみは大きく走って
ソワソワと落ち着かへんねん。
「今日は朝練もないし
オカンが弁当作るって言うてたから
作って来ーへんのちゃう?
まぁ、サクラが作って来たら
満腹でも食うけどな」
淡々と惚気ける治くんに
更に波は高くなって
『治くん、ごめん先に行く!
用事思い出した!』
足は大きく学校へ踏み出した