第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
直前に飛ばしあった
赤い絵文字が
余計に寂しさを掻き立てて
「姫凪、パン焼いとこか?」
『…お腹空いてへんから、ええわ
片付けはして行きや~
お母さんに怒られんで』
食欲なんか湧かへんよ。
「そっか。分かった
無理しなや?身体弱いねんから」
深く追求せずに
静かに食器を片すサクラ
用意された鞄の横には
お弁当の包みが一つ。
治くんに差し入れするんやと
なんの疑いもなく思ってた
その包みの行き先が
私の予想と
大きく外れて居る事を知ったのは
「姫凪、今か?」
『え?治くん?
朝練は?』
いつもよりも遅く通った
通学路で、だった。
治くんとも侑とも遭わない時間に
家を出たのに
「今日は朝練ない日や
姫凪こそ寝坊か?
えらい遅いやん」
まさかの鉢合わせって。
治くんが居るって事は侑も
居るって事やんな?