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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で




ぼんやりと部屋へ戻る途中、先程の事を振り返る。

「……アンリ様には恐らくこの先大変な苦労を掛けさせてしまうということは、私どもも重々承知で御座います。ですが、本当に感謝しているのです。旦那様のお言葉を受け入れて下さって……。」

そういうジェイドさんの姿は、本当に自分の事のように話していた。

ハイデスさんは愛されてるんだなぁ、と感じつつ、私がその中に入れるのかという小さな不安。
いや、入っていいのか、といった方がきっと正しい気がする。

ハイデスさんに、養子になって欲しいと言われたときはただただ、居場所を与えてくれたということが嬉しくて、何かを心配する余裕もなかったけれど。
養子って、どのくらいの立場なんだろう。なんて馬鹿なことさえ考えてしまう。

一喜一憂してしまっているのは自分でも良く分かっているのだけれど、やはり悩むなという方が無理な話だろう。

本当に、こっちが疑問に思うほどこの家の人達は私を受け入れるのが早い。
こうしてすれ違うだけで声を掛けてくれるし、何だか申し訳無くなるくらいで。

私という人はきっとこういった扱いに慣れていないんだろうなぁ、なんてまるで他人事のように感じながら。

そんな私なので家の人達に何かやることを、と言ってもゆっくりしていて下さい、の一点張り。
仕方無しに私は部屋に戻ってタマゴちゃんを膝に乗せながら本を読む。
こうしているとたまに淡く光るものだから綺麗で、それが見れるのが楽しみで側においていたりする。

記憶がないのは面白いことに別段苦にならない。
何でだろう?なんて思うけれど考えるだけ無駄のような気になるのでやめた。

「……でも、君の事は覚えておきたかったなぁ。」

そっと、タマゴを撫でながら一人溜め息を吐く。
どこでこの子を見付けたのか、どうして契約なんていうことをすることになったのか。
ドラークって、多分実際に見てみないとパッとしない。

それでも、この子はきっと綺麗な子なんだろうなぁってことは、何となく分かる。
だって、こんなにも綺麗なタマゴから生まれてくるんだから綺麗な子に決まってる。

まぁ、そこはゆっくり待つのが一番なんだろうから焦らずにのんびり見守ろうと思う。
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