第3章 2 暖かな黒の中で
カルヴァン王国はカルヴァン家が統治する大国で天女の恩恵があった時代は元々四つの国が支配していた土地。だが、天女の呪いと共にカルヴァン王国以外の三つの国は妖気に飲まれ滅びてしまう。
魔術に長けていたカルヴァン家は自国を守り、そして次第に元の三国の土地を切り開いていった。王国としては異質なほどの広さだが、国を守り平和へと導いた国王を民は慕い、今日まで守っているカルヴァン王家を唯一の国王としている。
国王は神の如く存在として崇められ、絶対的な権力を持つのだそうだ。
何だか少し馴染みのある宗教感だな。
他には北にウィットランド帝国、南にザユド連邦、東にジュズドボーヴェン公国がある。
ヴェルツゥヌの地の周囲は海を含め深い妖気で覆われている為、世界の広さはまだ確認出来ていないのだとか。それ故に世界の果ては崖になっていて、魔界へと通じている、なんてことも信じられているらしくて少し驚いた。
ウィットランド帝国は一年の大半が雪に覆われた国で、なんと魔王ルシフェウスを神として崇めているらしい。
魔王を神様とか、凄い価値観。どういう経緯でそうなったのか聞いてみたい。
南のザユド連邦は四つの王家からなる国で、かつては大戦争で勝利をおさめたヴェルツゥヌ最大の国家だったらしいが、天女の呪いでバラバラになってしまった。
その後も争いにより支配された国が集まっている為国自体の団結は弱いが、宗教が強く神と天使を崇めている。その為、魔王を神として崇めるウィットランドと度々火花が散るが、ウィットランドが相手にしない為に惨事になったことは今のところないらしい。
ジュズドボーヴェン公国は元々はザユド連邦領で、天女の呪いで土地のほとんどが妖気に覆われてしまうため、ザユドが手放しその後残ったハプス侯爵家が独立。現在は妖気が少しずつ消え、国土も広がっているがまだ国としての力は弱いそうだ。
不思議な場所が沢山ありそう。
気が付けば私はこの世界の事に夢中になっていた。
いつか、自分の目で見てみたいな。
私は窓の外が暗くなり、執事さんが灯りをつけに来てくれるまでこの世界の本を読み漁っていた。