第3章 2 暖かな黒の中で
「どうか、したか?」
「い、いえ……あんまりに衝撃的なお話だったので……」
「そうか、確かに……色々と一度に話しすぎてしまったな。まぁ、ゆっくりと理解していけばいい。」
そう言うものの、眉を寄せて考え込むハイデス様は何だか重い表情だった。
「あ、あの……それと髪の話は何の関係が……?」
「あぁ……魔力は基本的に色で現れるんだが、人はその性質が主に髪に出る。中でもこの黒というのは特殊でな。悪魔の色だと言われている。」
「悪魔の、ですか……。」
天使がいれば悪魔もいるのか。
「悪魔と魔物が持つ色だからな。その力を人体に取り込んだ者のみが黒髪を持つんだ……故に、君のように全く怖がらない人間は珍しい。」
「え、魔物の力……?」
それはちょっと怖いかも……そう思った途端、顔に出たのかハイデス様が笑っていた。
因みに私の髪は少し明るい栗色なので珍しいわけではないが、魔力は強い方らしい。
判断基準を教えてもらいたいところだ。
「魔力が色で出る、というのに馴染みがないみたいだな……忘れている訳でも無さそうだ。」
確かに色で力が判断出来ると言われても……
そもそも、その力というもの自体どんなものなのかよく理解出来ていないのだから当たり前だろうか。
「まぁ、直に馴れるだろう。思い出す事もある筈だ……それまで、ここでゆっくりしていってくれ。」
突然の提案に驚きを隠せない。
「ドラークの卵を持つ者は国として把握、又は必要によって保護の対象になる。その件は私から届けを出しておく。気にしなくていい。」
これは、甘えてしまって良いのだろうか。
この国のことも、常識も知らないことだらけの中でそれは大変ありがたい。
「でも、良いのですか……?」
「勿論だ。更に言うと、嫌と言われても聞けないのが現実だがな。」
「、え!?」
楽しそうに笑いながら、メイドさんにあれこれ指示を出すハイデス様を見ながら私はポッカリと空いた胸の穴が塞がっていくのを感じていた。