第3章 2 暖かな黒の中で
「、すまない。驚いてしまった……それを何処で?と聞きたいのだが、覚えていないのだったな。それが何か君は分かっているのか?」
少し厳しくなった口調に、思わずたじろぐ。
優しい人だと思ってたけどその瞳の奥に隠れる鋭さを見てしまった。
ちょっと怖い……そう思った途端、ピカッと私の手の中の卵が鋭く光った。
「ひゃっ、!」
すると、目の前に突然白い壁が出来ている。
勿論、さっきまで無かったものだ。
ハイデス様は壁の向こうにいるので様子がわからないが、ガタッと立ち上がった気配がするから驚いているのだろう。
待ってよ、何これ……何が起きたの?
混乱していると壁の向こうからハイデス様の声がした。
「、すまない……怖がらせるつもりは無かったんだが……」
「え、あの……何が起きたんですか?」
会話が噛み合っていない気もするが、致し方無い。
私は半分パニック状態だ。
「ドラークだ。契約者……主を護る為に防御壁を作ることがある。君を護っているのだろう。まさか卵の状態でここまで出来るとは聞いたことがないがな。」
防御壁……私を守ってくれてるの?
手元の卵を見ると光が少し強い。
こんなに小さくて、まだ産まれてもないのに……
何だか可愛くなって私は卵をぎゅっと抱き締める。
でもいつまでも壁越しでは、折角助けてくれたハイデス様に申し訳無い。
取り合えず、大丈夫だよ……有難う、と思いを込めて卵を撫でてやったらキラキラと白い壁は崩れて消えた。
目の前には、困ったように笑うハイデス様。よく見ると頬に小さな傷がある。
それを見てサーッと血の気が引いた。
「まさか、契約済みの上にそこまで絆が深いとは、参ったな……」
「え、その頬、まさか……っ!!」
壁の向こうで何があったかは知らない。
でも何となく察しはつく。
「いや、気にしないでいい。主を持ったドラークの正しい判断だ。例え今や伝説とされたドラークとはいえ、産まれる前の卵相手だ……ただ、少し驚いたが。」
申し訳無さで一杯だ……というか何したの、この子。
部屋が荒れた様子は無いけれど、事の詳細は怖くて聞けない。
「まぁ、今ので君のドラークが本物のユウェルドラークであり、正しく契約を結んだということが分かった。……その姿を見たのは私も初めてだが。」